【スイス海外研修2日目午後】2022.10.10

2日目の午後は、近隣のゼーラント地域(Seeland)の事業体である「Forst Seelnd」所属のフォレスター、ダリオさん(Dario Wegmüller)にお越しいただきました。ダリオさんは、リースの近郊のフォレスターを務められており、リース校のOBです。なんと、愛犬も一緒に連れてきてくれました。リース校近くの森で実習とのことで、徒歩で現場へ向かいます。

ダリオさんの一番の仕事は、森林所有者へのアドバイスとのこと。この場所は、かつて北米産の外来種であるアカナラが植林された場所だそうです。アカナラは樹高が40~50mにもなる、木材として有用な樹種です。しかしダリオさんはあまり気に入らないそうです。それは何故かというと、ドングリが大きすぎてリスの食料にならないからだそうで、生物多様性保全に気を配るフォレスターの考え方の一端を知ることができました。他にも、この森で今後どういうことを考えていくかといったことや、選木の方法について教えていただきました。

その後、森の中へ進んでいくと突如として大きなタワーがそびえていました。なんと、この木造のタワーは地元企業がスポンサーとなり、その出資により建築したそうです。あまりの大きさに一同驚愕していましたが、早速このタワーを登り始めます。階段にはスポンサーとなった企業のプレートが多数貼り付けてありました。最上階へ上がると素晴らしい景色が…

このタワー『Lysser Aussichtsturm(リース展望台)』は、多くの人に森に訪れてもらえるように設計されたもので2009年にリースのコミュニティの…なんと1000周年を記念して建てられたそうです(桁間違えていません汗)。ここのタワーからは、5日間の研修で訪れる地域の大部分を見ることができ、これが、ダリオさんが我々をここに連れてきてくれた理由の一つだそうです。見通しのいい日はアルプスまで眺望できるとのことですが、今回は見ることができませんでした。

我々のアカデミーがある紀伊半島や大和平野周辺は複雑な地質で生物の多様性が豊かです。一方スイスは石灰岩に由来する地質であり、それほど多様性に富んでいないのではと思っていましたが、ダリオさん曰く同じ石灰岩地帯であっても場所によって植生が異なるなど生物多様性が豊かであるとのこと。

スイスでは、かつてモミ・トウヒの一斉単純林の造林を進めた結果、嵐や虫害などで森林の多くを失った過去を持ちます。そのため生物多様性を非常に重視しているようでした。今でも、スイスの森林の80%が災害などで失われたとしても、もとの自然に再生可能なだけの樹木の種子を国が保管しているとのことでした。

ダリオさんからは、他にも行政と教育機関との関係や、苗木のこと、地域住民とのコミュニケーションなど様々なことについて教えていただきました。

リース校に戻ってからは、アラン先生による講義の続きをしていただき、その後夕食を摂りました。夕食後は自由時間でしたが、学校案内をリクエストしたところ快く引き受けてくださり、リース校の内部を見学させていただきました。

明日はバスで移動し少し遠出になりますが、皆さん遅くまで勉強したり、語り合ったりと少ない時間を大切に過ごしているようでした。アラン先生をはじめ、皆さん遅くまでお疲れさまでした。

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