【スイス海外研修3日目午後】2022.10.11

3日目の午前中の実習を終え、一行は再びバスに乗って移動。スルトタール(Suldtal)の山岳地にやってきました。昼食をいただいたのは「Restaurant Pochtenfall」という可愛らしいお店。ここは、フォレスターのフロリアンさんが手配してくれました。このエリアは地元の人が森林散策に訪れるような場所で、森は美しいのですが、広場などは大変こじんまりしていて、ゆっくりするには最高の場所でした(筆者感想)。

昼食後、ここのオーナーとスタッフの方々にも車を出していただき、林道の先にある施業地へ向かいました。ここは石灰岩を氷河が削ったような地形で、非常に急峻でした。使われていたのは、「x-harvester」という、タワーヤーダとプロセッサが一体となった林業機械で作業しておられました。事業体は、搬出をこの「x-hervester」を所有する会社に委託しているとのことでした。

ちなみに、スイスの森林のほとんどが保安林となっており、国からは保安林の整備に助成金が出ます。大まかな仕様が「NaiS」というガイドラインに掲載されています。NaiSの内容は、合意形成や意思決定の手法について書かれたものですが、虫害対策と雪崩対策についても言及されています。上の写真は、わざと高めに伐採し、樹皮を削っていますが、これにより雪崩対策になり、樹皮がないので虫害対策になるとのことでした。最後に「高く伐ったら楽だからね」とも言っていました笑。

ちなみに、ここで搬出された原木は、予め契約した製材所などが引き取りに来ます。前年の秋に1年分の契約を結び、その施業地からどこの製材所へ販売するかが決まるそうです。他にも、稀にですが1回の伐採で出た木材で家を建てたいという要望があり、そのために300m3まとめて施主に販売した例もあるそう。そうした木材の販売や販路開拓もフォレスターの仕事の範疇となってきます。

スルトタールでは、フォレスターのフロリアンさんから、木材生産の現場を見学しました。このエリアでの選木はすべてフロリアンさんが行うとのこと。彼は、自身の所管する森の蓄積や成長量、地質、風の向きなどを明確に把握しているようでした。

さて、リース校に戻ります。本日の午後は長くまだまだ続きそうです。というのも、これからリース校在校生と我々アカデミー生との交流会があるからです。アラン先生からはバスの中で「みんなで一緒に『カントリーロード』を歌うから準備しといてね~」など脅されながら帰ってきた一行です。

現校長先生によるドイツ語、フランス語、英語、それを訳した日本語による4か国語によるあいさつの後、早速宴開始。それにしてもリース校の学生さんは皆さん大柄です。なんでも森の中でトレーニングしたあと、帰ってきてからもトレーニングしているとか。大柄な男たちでしたが、はじめは初対面の日本人とは中々話が弾みませんが、中盤にはだいぶ打ち解け、仲良くなれたと思います!

学生の中には、実習で奈良県に行ってみたいと言ってくれた学生もいました。うまくいけば、来年度、実習生の受け入れができるかもしれませんので、彼らとまた会える日を楽しみにしておきたいと思います。この日は結構遅くまで交流が続きました。

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