【スイス海外研修5日目午前】2022.10.13

スイス海外研修も残り2日となりましたが、すでに1ヶ月位スイスにいるのではないかと錯覚するくらいの濃密さと情報量の多さで、学生の皆さんも同行職員も整理するのがやっとといった日々を送っています。

この日は、リースより南西にあるムルテン湖周辺を訪問しました。まず訪れたのはこの地域の事業体である「Forst Galm Murtensee」に到着。ここはドイツ語を話す人とフランス語を話す人が混在している地域であり、そのためバイリンガルの方が多く、また、サイン等も両言語を掲出する場合が多いです。

ここでは、トーマスさん、ラルフさん、ハインツさんという3名のフォレスターが事業体の経営に携わっており、この日はトーマスさん(Thomas Oberson)さんとラルフさん(Ralph Malzach)からご指導いただきました。この事業体は2021年1月に2つの事業体の合併により設立されたとのことです。きっかけは、事務所の新築のための補助金を州に申請したところ、たまたま同じタイミングで2つの事業体から話があったことから州が合併を勧めたからだそうです。また、この地域においても2つの課題①気候変動によるトウヒの衰退、②燃材需要の高騰による価格の低下 への対策を検討している中で、2つの地域の事業体の思惑が合致し合併に至ったとのことでした。

まずは、事務所の新築部などを見せいただきました。作業員のロッカーも男らしくてカッコよかったです!

そして、次に現場へ向かいます。現場は、なんとショッピングモールのような建物の裏側?鉄道もあります。

実は、ここは森林の遊歩道であり、道沿いの樹木の剪定を事業体が請け負っているとのことでした。この事業体の特徴は「多角経営」であり、売り上げに占める原木販売の比率はわずか36%。その他のサービスと助成金、私有林へのアドバイス、造園、木材加工、州からの公共事業など様々な事業をされています。

この現場では、枝の剪定を専門に行う機械を使って作業をされていました。

そのあと、ムルテン湖の北にある高台へ連れて行っていただきました。このエリアは、有数の保養地として知られておりベルン在住の医師などが別荘を構えているエリアです。このような場所では、景色のために森林を無くしたい人との折衝がフォレスターの仕事としてあるそうです。また、ワイン畑など日当たりを重視する人々にも森の重要性を理解してもらうための啓もう活動を行ったり、伐採させないための「森林警察」的な役割も担っているとのことでした。これまで、木材生産を行う現場を見てきた中で、この場所では、森を切らせないための取り組みをしているということで、大変興味深い内容でした。説明いただいたフォレスターのハインツさんは、この近くのブドウ農家出身であり、地元との折衝に重要な役割を果たしていることがわかりました。

このあと、一行は、Forst Galm Murtenseeに戻り、昼食を摂りました。そこでは、森林作業員のメンバーが昼食の準備をしてくれており、ともにランチをいただくことになりました。印象に残ったのは、はじめは無口だった20代後半の森林作業員が、森づくりに対しての意見を聞いたところ、確固たる信念を持っており、恒続林への憧れを積極的に話してくれたこと。また、16歳の訓練生が12歳で林業に就くことを決心していたこと。若くして林業への認識があり、思いを持っていることに感心しました。

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