【スイス海外研修6日目午前】2022.10.14
時が経つのは早いもので、とうとう最終日となりました。日本では1週間雨の予報でしたが、この日までは見事に雨が降らず、今日に至りました。本日は、リースの西にあるヌーシャテル湖の西側にあるクヴェを訪れました。この日は、恒続林や択伐林の考え方について学ぶ日となりました。朝、クヴェ(Couvet)の現場につくと、フォレスターのクロードさん(Claude-André Montandon)と、州林学技師のパスカルさんが待ち構えてくれており、パンやコーヒーを準備してくれていました。
パスカルさんからは、恒続林の話や、スイスの林学者ビオレイが考案した、択伐林において定期的に調査を行い、理想的な森の形に誘導する手法である照査法について説明がありました。照査法について詳しくは省略させていただきます。そして、実際にビオレイが称賛した森へと入らせていただきました。
天然更新により、様々な樹齢の立木が立ち並んでいました。他のフォレスターと同じく、ここでも2人の口から出てきたのは『バランス』や『安定性』でした。森林を安定的に保つためには、集団的な安定性と、単木的な安定性を両立させる必要があり、それを実現させるために施業を行うということでした。恒続林は決して自然保護目的で行うためではなく、経済的な収益を実現できる森林。安定していることにより、自然状態を保ちながら収穫を続けることができる森。
この森を見ていた時に、前日にあった20代後半の森林作業員が、「恒続林は『Art of Nature(自然がつくる芸術)』だよ」と言っていたことを思い出しました。森林と人が共生できる理想的な森林。フォレスターは、「どこでもできるわけではない」と言っていましたが、これを奈良県でできるかどうかはわかりません。それは、ビオレイの言葉通り「森づくりは実践の積み重ね」、森林を計画する人は「森林を観察し記録する」ことをしていくことで、判断ができてくるのかもしれません。
照査法生みの親ビオレイの記念碑
このあと、スイスでの最後の昼食を「Le restaurant les Plânes」で摂りました。提供いただいたのは地元のジビエ料理とのころで、大変美味でした。腹ごしらえをして、最後の実習地に向かいます。