【スイス海外研修4日目午後】2022.10.12

とうとうスイス海外研修も折り返しに差し掛かりました。次に訪れたのは「タール地域自然公園(Naturpark Thal)」。自然公園といっても、日本とは異なり、地域の自然保護に加え地域活性化を目的としています。そのため、「住民の幸福度の向上」ありきで物事が決められているようでいた。取り組まれている事業も様々です。自然保護に関することとしては、アドリアンさんと共に行っている「森を明るくするプロジェクト」によりチョウの保護に取り組まれています。また、農業との連携で公園内で蜂蜜を作る生産者と共同で販促に取り組んだり、高齢者に若者がデジタルデバイスの操作方法を教えるなど世代間交流にも取り組んでいるとのことでした。

また、森林の利用を進めるため、木材を扱う工務店が連合を組んでアート作品を森に飾るなど、面白い取り組みもされているということでした。自然保護と林業は対立しないものとして、啓もう活動もかねて様々な取り組みをされています。

今回、その工務店連合のメンバーでもある、Bader Holzbau AGの木造建築プロジェクトマネージャーのバーダーさん(Matthias Bader)から話を伺いました。バーダーさんは、森林事業体委員会と関りがあり、木材の付加価値を向上させるための取り組みをしておられるとのこと。

建築にはスイスの国産材を使用していますが、その設計、家具・建具の製造、施工まですべての過程をこの工務店でこなすことができるとのことでした。現在施工中の現場を拝見させていただきましたが、すべての木材がスイス産で、非常に工夫した製品づくりをされていました。

また、バーダーさんの工房では、多種の木工機械が揃えられており、精密な加工もできるようでした。

また、建築の設計についても、コンセプトのしっかりとしたお洒落なデザインを施主に提案することで、より木材の魅力が引き立ち付加価値向上につながるような取り組みとなっているようでした。

タール地域自然公園は、スイスの自然公園として初めて政府に認められた公園だそうです。その公園の役割は日本のものとは大きく異なり、人が幸せを享受するための自然保護、コミュニティづくり、林業の啓もうを行っており、目的のために地域住民が自らの頭で考えて取り組みを遂行しているように見て取れました。こうした取り組みの中で、フォレスターは重要な役割をこなしていることがよくわかりました。

記事一覧