【スイス海外研修6日目午後】2022.10.14

お昼ご飯を終え、最後の実習地に向かいます。ここは、パスカルさんの拠点でもある『Centre forestier de la Montagne de Boudry(ブードリー森林林業センター)』です。このブードリーには、悲しい歴史があります。かつて、スイスは資源が少なく、国民は貧しい暮らしを強いられていたそう。そこで、この地域では営利目的で1850年ころにトウヒ、モミの一斉林を造成しました。しかし、その後1911年の冬に嵐に見舞われ、多くの森林が破壊されてしまったそうです。

その後、前任者の方が1915年~1920年にかけてトウヒやモミのほかダグラスファーやマツなどを植林し、天然に侵入した広葉樹も育ててきたそうです。それらの種子は風や鳥が運んできたもの。今はそれらの広葉樹と植林した針葉樹が混在する森になっています。パスカルさんはこの森で択伐林施業を行っています。

この森は、様々な種類の木が生き生きと成長しており、活気を感じました。パスカルさんは一通り森を案内してくれたあと、帰り際にビオレイが1937年に残した『森はオルガン』という言葉を紹介してくれました。

森は多数の機関が合わさって一つの音を奏でるオルガンのようなものだ。メカニズムを合わせただけではダメで、調和がとれていることが重要である。土壌、空気、水、大きな力を引き出すためには教育を受けたオルガン奏者が必要だ。オルガン奏者はオルガンのメカニックを理解しておく必要がある。同じく森づくりにもアーティストが必要である。

といった内容でした。パスカルさんは2008年に模範的な森の手入れを行った人物として表彰を受けたそうですが、その賞金は森林所有者に渡したそうです。25万スイスフランということですから、今の日本円に換算すると3,750万円というお金です。

これが何を意味するか、思いを巡らせながら帰路につきました。

その夜、1週間つきっきりだったアラン先生より送別会を開いていただきました。会には、これまで奈良県に実習生として来てくれたフォレスターも参加してくれ、交流を深めました。

翌早朝、リース校を出てジュネーブ国際空港へ向かいました。空港でアラン先生にお別れを告げて帰路の飛行機へ飛び乗りました。

今回、15名の学生と職員はかけがえのない経験をさせていただきました。今回のレポートは、単に行程を機械的に振り返っただけのものですが、それでも当時の学びが思い出されます。どこかで、今回学んだことを報告できればと思っておりますし、スイスで学んだことが活かせるように今後も取り組んでいきたいと思います。

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